江戸時代、甘味はただの「おやつ」ではなく……
江戸時代、甘味はただの「おやつ」ではなく、季節や身分、時代背景を映す文化のひとつでした。
干し柿や甘酒から始まり、団子や落雁、みたらし団子や金平糖に至るまで──
庶民の生活の中で、どのようにおやつが変化し、楽しみとして根付いていったのか。江戸時代初期から後期にかけての「甘味と嗜好品の歴史」をたどりながら、当時の人々の暮らしと味覚の移り変わりを、少しだけ紐解いてみました。
【江戸時代初期(17世紀前半)】── 甘味は贅沢、薬とされていた時代
🍬 甘味・おやつの特徴
- 砂糖は非常に高価で、薬扱い(「唐砂糖」など)。
- 甘味は、自然の素材を活かした素朴なものが主流。
- 庶民にとっては「おやつ」はごく限られた特別なもの。
🍠 代表的なおやつ
- 干し柿・甘栗・焼き芋・さつまいもの煮物
- 煎り豆(いりまめ)や干し芋
- 甘くない「焼き味噌」や「味噌団子」
- お祝い時に甘酒(米と麹)
🌾 「甘いもの=滋養のあるもの」
医薬と食の境界があいまいな時代。
🍡【江戸中期(18世紀)】── 菓子文化の開花と砂糖の広がり
🍬 甘味・おやつの変化
- 奉書紙(紙包み)で砂糖が流通。長崎貿易や薩摩の黒砂糖生産も活発に。
- 菓子作りが武家・寺社から町人にも広がり、和菓子文化の原型が生まれる。
- 「甘いもの」が日常の嗜好品として庶民に浸透。
🍡 代表的なおやつ
- 団子(三色だんご・味噌だんご)
- 芋ようかん、くず餅、ういろう
- 麦こがし(はったい粉)+湯+砂糖=即席おやつ
- 干し柿入りの餅
- 茶店で「あんこ入り焼き餅」が登場
🍵 「食べ歩き」の原型がこの頃から
→ 茶屋・門前・川沿いなどに甘味処が増加。
🍡【江戸後期(19世紀)】── 甘味が大衆化、屋台グルメも豊富に
🍬 甘味・おやつの進化
- 砂糖の流通が安定し、家庭でも日常的に使用。
- 屋台や茶屋が充実し、「食べ歩きの江戸」が定着。
- おやつが娯楽と密接に結びつく(見世物小屋、芝居町など)。
🍘 代表的なおやつ・嗜好品
- 瓦せんべい、金平糖(南蛮渡来)、落雁
- 江戸前だんご(串焼き・醤油・海苔)
- 甘納豆、あんころ餅、くずもち、みたらし団子
- ところてん(夏の定番)
- 蕎麦焼き、天ぷら、焼き栗(軽食系嗜好品)
🍡 甘味と一緒に、「抹茶」「番茶」「煎茶」などのお茶文化も庶民に広がった。
🪑 嗜好品としての甘味:江戸人の「おやつ時間」
江戸の町では、午後3時ごろに「間食(あいだぐい)」として甘味を楽しむ文化がありました。
現代で言うところの“おやつタイム”です。
- 職人や商人が屋台で「串だんご」や「甘酒」を買って休憩。
- 茶屋では「甘味と抹茶セット」が定番。
- 寄席・芝居見物でも、「あんころ餅」や「甘納豆」を片手に。
📜 時代別まとめ
|
時代 |
甘味の主な特徴 |
代表的なおやつ |
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初期 |
自然の甘味中心。砂糖は薬。 |
干し柿、焼き芋、甘酒 |
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中期 |
和菓子文化の始まり。砂糖が徐々に普及 |
だんご、ういろう、はったい粉 |
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後期 |
大衆化と屋台文化。嗜好品として発展 |
みたらし団子、甘納豆、金平糖 |
自分で作れるおやつもたくさんあります。
ナチュラルな和菓子づくり、いろいろ挑戦してみたいですね。




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